為末大さんに質問してみたら意外なことが分かった。①

大久保

三度の飯より本が好き。こんにちは。活字中毒のスポユニライター、アミです。

 

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『為末大さんに直接質問ができます!』というキャッチーなイベントを発見したので
715 TKP 市ヶ谷カンファレンスセンターで行われた「情報工場Presents為末大さん『逃げる自由』出版記念セミナー」へ行ってきました。

 

まず最初に、主催者の情報工場さんが案内をしてくれたのですが

 

「お写真・録音・撮影など

 

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と説明が始まったので、最初の禁止事項だなと思ったら

 

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お写真・録音・撮影など 全てOKです!(ニコッ)」とメガネのお兄さん。

 

その瞬間会場に居たお客さんからも「おぉ」と歓声が上がりました。
時代を捉えており、尚且つSNSBLOGなどの波及効果の良い側面を熟知されていて、情報工場さんと為末さんがぐっと好きになりました。

そんなこんなで会場が温まり、とても良い雰囲気で始まりました。

 

為末大さんご登場

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初めに「最近感じた面白いニュース」のお話しからされていて、
「どうしてそんなに気になったのだろう」という疑問から
「自分が興味を持つ者に対して自覚的であるかどうか」
「何を意識的に拾うか」「自分で掘り下げる」
「自覚的に、且つ自発的に自分の選択ができるのではないか」など

自身の思考を深く掘り下げることの重要性をお話しされていて、初っ端から釘付けになりました。

 

認知心理学

為末さんは認知心理学がとても好き

ベンジャミン・リベットの著書、マインド・タイムにも記されている研究のお話しで、

「自分の右手首を曲げようと思う時、どのくらいのタイムラグがあるか」というクイズが始まりました。
0.05秒・0.2秒・0.5秒どれでしょうか?」という選択肢に手をあげる観客参加型で、冒

頭から終始ワクワクしていたのですが、アスリート時代の知識から0.2秒であることを知っ

ていたので、なんだか申し訳ない気持ちに(汗)逆に 意外とこの数字を知らない人が3割

くらいはいるのだと目視できたので、新しい発見が出来ました。

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(※陸上競技や競泳のスタートの際、0.2秒前に動いたらフライングになってしまうのです。)

 

続いて「準備電位」という脳波のお話し。
脳から筋肉への電気信号で、例えば人間が右手を曲げるまでに
①脳が右手を曲げようとする
右手を曲げようとする意思を持つ
右手首が曲がる
という順番が、実験の結果で判明しました。つまり「私が右手首を曲げるよりも先に、脳が右手首を曲げることを意思決定していた」ということがベンジャミンリベットの脳科学研究で分かったそうなのです。

そしてこれによって何が起きたかというと
俺たちの意思は何なんだ!?」という大論争が起きたそうなのです。
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為末さんは 現役選手時代の最後の方に これを聞いて衝撃を受け、認知心理学会に行ったそうです。そこで更に衝撃を受けたのが、参加しているほとんどの人が冒頭に
まぁ人間には意志が無いというのは自明の事ですが」という形で話が始まったそうなのです。
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我々の生活で言うところの「意思が無い」とは違い、正確に言うと「人間が自分の体を自分でコントロールしているというのは相当怪しい」ということが分かっていて「かなりの部分が、自分が意思を持っているというよりも、周辺の反応的に起きた出来事を自分の意思だと勘違いしていることが沢山ある」と捉えてもらって良いということでした。


そして表情筋を研究している方の実験では、
割り箸を口に咥えて面白い漫画を見ると、漫画がより面白く感じられる結果があるそうです。何が起こったかというと、人間が口角を上げるという行為に対しフィードバックが起こり、笑ったから面白いんだろうとフィードバックをかけて、本当に面白くなってしまうという現象があるそうです。

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吊り橋の上を歩いているとドキドキするが、その吊り橋に異性が居ると、その異性に対してドキドキしているのではないかと錯覚してしまう有名な「吊り橋効果」も同様の類だそう。人間はなぜドキドキしているか さほど理解していないそうです。
「吊り橋理論」…揺れる橋での緊張感を共有したことが恋愛感情に発展する場合があること。

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他にも、人間が笑う原因の上位は「つられ笑い」で、

人が笑っているから自分も笑う。子供はこれで学習するそうです。

 

では一体楽しさはどこからやってきたのか?

為末大さん

自分が楽しいとか悲しいとか、本当に自分からなのかは怪しい。かなり環境に影響されているという現実がある。つまり自分との距離が取れないと、どうなるか。
周辺に影響された自分の環境や自分の感情や感覚みたいなものが、まるで揺がし難い自分の感情だと思い込んでしまいそこに(感情が)居座ってしまう。

 

本当に自分が楽しいのか悲しいのかなんて かなり怪しくて周囲の環境の影響ではないかと。
それらの環境と離れたところに自身を置いてみると、全然悲しくも楽しくもなかったということが人生には往々にしてある。

 

つまり自分のことを客観的に見ることが出来ないと、まるで自分が考えているかのように、周囲の環境に影響されてしまうのです。

 

人間のモチベーション

為末大さん

よく「モチベーションを高く保ちましょう」と言われていますが、モチベーションは食欲と似ていて、湧いてくるものであって、出したり高くするものではないんですね。

 

社会がアスリートに対して誤解して認識していることの一つに、アスリートというのは凄い強いモチベーションを持って日々高い目標を抱えて生きている人種だと思われています。

ですが実際に現場でオリンピアンの選手たちと話していると、日々モチベーションが高いかというと、そんなに高くない選手もいて、且つ全然やる気がない日もあり、サボってしまう選手もいます。

 

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では何が違うかというと、継続して2年3年でみると確かにオリンピック選手の方が、トレーニングを継続して比較的高いモチベーションを保っているのです。

 

どうしてそんなことになるか?

 

それは、今の自分のモチベーションと、グランドに行った時のモチベーションが同じであるとは思っていないと考えられるからです。

 

つまり言い方を変えると

「今の自分のモチベーションが低くとも、1時間後も同じとは限らないと思っている。」からなのです。

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為末大さん

例えばダイエットにチャレンジしたり、運動にチャレンジしたり、勉強をしてみようと思ったことがあると思いますが、ベッドに居る間は動きたくないと思うことが多いと思います。

しかし

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イヤイヤその場所へ行く

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気持ちはベッドの時と変わらず

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無理やりにでも始めてみる

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一回始めてみると思ったよりも悪くないなと思う

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継続できる

 

ジョギングも面倒くさいけれど、最初の3分走ってしまえばその後が続く。つまり運動して3分経った時の自分は、運動する前の自分とは違うということなのです。

 

為末大さん

「今やる気を出さないと将来もやる気が出ない」という理論がありますが、一致していないという事を知っていると、別に今運動すると意思決定しなくても良くて、3分走るところまで意思決定すれば3分後の自分は違う自分になっている。その自分が勝手にそのまま継続してくれる。

 

「そんなの今ここで決めなくても良くて、あそこまで行きさえすれば気分が変わるんだ」というボタンを知っているということになります。

 

大久保

俗に言う「やる気スイッチ」!?朗報ですね!

「ウチの子は遊んでばかりで全然勉強しなくて…」なんて悩みを抱える世の中のお母様!「勉強しなさいっ!」ではなく「まずイスに座りなさい!」これが解決の糸口になりそうですね。)

 

為末大さん

どこまで自分を連れて行けば、そういった気分になれるのか。
そういった自分のボタンを知っている選手が、長く競技をやっていく上で重要になってくると思います。

 

ではこれを知るためにはどうしたら良いかと言うと、客観的に自分を見るということが大事になってくるんです。

 

「自分はやれるんだ!」と思う目線ともう一方で
「どうしてこんなに自分はやれるんだ?」と思うことを掘り下げ、周りを見渡し、
「なるほど!こういう環境だと自分はやる気が出やすいんだ」と観察する。

 

やる気を出そうとする内側にアプローチするのではなく外部の環境を作るアプローチをした方が、結果としてはやる気が出てくるだろうということなんです。

 

為末大さん

自分自身というのはさほど思っているよりも「確か」ではなくて、かなり外部の環境に影響されます。
このことを理解して、まず、どういった状況であれば、自分が思うことを100%でなくても70%くらい動いてくれるのか、自分を観察するということが非常に重要なことであります。

 

自分自身の歩行

為末大さん

現在は人工知能がカメラで認識すると歩行から人を認識できるような技術が開発されていますが、とある認知科学の実験で

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・高齢者の方が出てくる寂しい映画

・子供がたくさん出てくる元気いっぱいの映画

 

これらの映画を観た後に、映画館から出てくる歩行のスピードを測ったら結果が如実に現れ、高齢者の映画の後は歩行スピードが下がりゆっくりになり、こどもの映画を観た観客の方が歩行スピードが上がったのです。

 

為末大さん

他にも、両親共日本人の選手がアメリカで育った場合、アメリカ人の歩き方にかなり近くなると言われています。(アメリカ人と言っても様々な人種がいるのですが、大きく括ると比較的左右に体を揺らして上下に激しく動くことがアメリカ的な歩き方と言われています。一方で、日本的な歩き方とは左右揺れや前後揺れが少なく、水平移動すると言われています。)
骨格的な問題であれば、日本的な歩き方になるのだろうが、そうならないということは、見たものや、周辺で人がどう歩いているかの方が、その人の歩行に影響を与えているということになるのです。

 

為末大さん

人間が無意識にやっている歩くという行為や表情すら、外部のものの模倣で始まっていて、模倣によって自分の内面の感情などが影響されているとしたら、何が一体本当の自分なのか、それらを一つ一つ要素分解していくと、どれが自分にどう影響しているだろうかといったことになります。(影響を与えている外部要因や周辺環境を)本当に引いてしまうと何も無くなってしまうと思う。玉ねぎのように全部剥いてしまったら真ん中に何もなくなりましたなんてことになってしまうのですが、ちょっと剥いていくと、全然「自分の知らなかった自分」がよく理解できるようになって、往々にして意識的な領域よりも無意識的なものにこそ本来の自分が出やすくなり、それを観察するためによくよく距離をとっていくことが大事なんです。そんなことを元に「逃げる自由」という本を書きました。

 

逃げる自由

 

 

大久保

おおお、本を読むのが楽しみになってきました。

 

続きはこちらです。↓

http://spouni.com/2016/08/26/000002/